2024年1月26日から1月28日(現地時間)にアメリカのアスペンで開催される「X Games Aspen 2024」にモンスターエナジーのスノーボーダーの平野歩夢、村瀬心椛、長谷川帝勝が出場する。

大会に先駆けて出場選手3名にモンスターエナジーが独占インタビューを実施。昨年のW杯で大技「トリプルコーク1440」を成功させ優勝した平野歩夢、女子史上初の「BS1440」を成功させた村瀬心椛、5回転半する「1980」を世界で初めて4方向全てに成功して優勝した長谷川帝勝など、世界レベルで活躍を見せた日本人アスリートが登場する。

平野歩夢選手 インタビュー

― 2013年で初出場したX Gamesの印象は?
X Gamesは、小さい頃憧れて初めて衝撃を受けた大会だった。いつかこの舞台に立ちたいなっていうのを小さい頃からDVDで毎日見ていた。その時から10年ほど経った今は追っている立場から追われるようになり、自分自身との闘いという感覚が強くなってきた。

― 二刀流からスノーボード一本に集中した今、これまでの経験は活かされたか? 今スケートボードに乗っていない時間が増えてきた中で気持ちでは思い出せるが、身体としては離れている感覚がある。スケートボードのハングリー精神をどこかで取り戻さなければいけない。

― 平野歩夢にとってトリプルコークとは?
人間離れした技ですね(笑)。ようやく人間離れした技が1つ出たことによって、みんなその先を狙っていくと思うし、そういった進化を求められる世界になった。自分もそこに居続けたいので、そのために生活でも普段の食事でも犠牲にしなきゃいけない。スポーツアスリートの部分がスノーボードに入り込んできたように感じる。

― トリプルコークを超える新技について
常に考えていて、トライしていることはいっぱいあるが、全然辿り着けていない。今まで4年に1個や2個しか大技を覚えてこれなかった。できるかできないかのギリギリのレベルまで持っていくまでに何回も試さないと完成度も上がらないので、本当に厳しい世界になってきている。

― 今後描いてるビジョンはありますか?
この業界をどう発展させるか、というより誰も超すことができない自分にならなきゃいけない気持ちが強い。今まで人の背中を見て学んできたが、誰もたどり着けないところまで自分が行きたい。常に自分の中で最大限を求め続けて、そこに何か感じてくれる人がいたら嬉しい。

村瀬心椛選手 インタビュー

― 2022北京五輪では銅メダル、好成績をあげながらも苦しめられている印象があったが、昨シーズンを振り返るとどうだったか
オリンピックが終わってからはプレッシャーに負けて、周りからの期待が少し悪い方向に行ってしまい、昨シーズンなかなかいい成績が出せず、怪我もして…というようなシーズンでした。

― 女性初のBSトリプルコーク1440を成功、優勝を飾った今シーズンまでどう過ごしたか
高校を卒業してスポーツ選手としてやっていく中で、怪我を経てスノーボードに対しての気持ちが変わって。楽しく練習しないと絶対上手くはならないと思ってるので 、死ぬほど練習しながらも楽しみながらスノーボードに取り組んでいました。

― スノーボードを楽しみながら上達する、そんな村瀬心椛が目指す「フリースタイルスノーボーディング」とは
スノーボードはスロープやビッグエアっていうだけじゃない。ハーフもバックカントリーも、すべてがスノーボードだと思っています。そこだけに囚われたくなくて「もう全部すごいよね 」と言われるような存在にこれからもなりたいと思っています。「かっこいい滑り」っていうのは譲れないし、男みたいな滑りがしたいと思っています。

― 女性初のBSトリプルコーク1440 を決め、再び追われる立場になったがどんな心境か
自分が競技を終えるまで、怪我なくずっとトップで居続けたいと思っています。ここで終わりじゃないと思っているので、これからもっと練習していきたい。

― 勝つための技術的な面とかっこよさを追求するこだわり、これらを両立することに対して、どんな心境があるか
回っているだけじゃ自分は自分じゃないと思う。スノーボードは魅せる競技なので、かっこよさはもっともっと追及していかなきゃ、スノーボードじゃないと思っています。

― X Games Aspen 2024や、今年20歳を迎えるプロスノーボーダー村瀬心椛として、どんなところに注目してほしいか
X Gamesでは、スロープスタイルはいろんなセクションがあるので、4方向からの回転やスイッチなどに注目して見て欲しいなと思います。スノーボードはめちゃくちゃかっこよく、日常とはギャップがある。そんな一面もお届けしたいと思っています。

長谷川帝勝選手 インタビュー

― 2021年のAspenで初出場したX Gamesの印象は?
小さい頃からずっと夢に見てた憧れの舞台だった。初めて出た時は大きな大会で観客も多く、自分的には緊張していた。怪我してたこともあり本調子ではなかったが、トップライダーの中で滑れたことは自信にもなり、良い経験になった。

― 2022年W杯以降、結果を残せるようになったきっかけ
今までは怪我せずに自分の滑りを淡々とセーフティにやりたいというマインドだったが、2022年のカッパーマウンテンのW杯で大先輩にあたる角野友紀さんにお会いして「なんでそんな上手いのに勝ちにこだわらへんの?」と言われ、そこでハッとなった。「勝てるぞ」と練習しながら思ったところへ自分のベストを出して獲りにいくマインドへ変わった。

― 今後描いてるビジョンはありますか?
多分10年くらいはコンペしてると思う。コンペで勝ちつつ、自分のスタイルや表現者としての美学を磨いていく。自分のフルパートも作りたいと思っているので、そのためにはまずコンペの結果が大事と思っている。その後にストリートをやりつつ、自分のフルパートを残してナチュラルセレ ションとかに出て勝てるようになっていきたい。まずは1つ1つ順を追ってやっていきます。

― 高難易度化するスノーボード競技におけるプレッシャーとの闘い方については?
自分がやりたいと思った時にやるのが一番です。例えば、先日のワールドカップでは1800を回ることに飽きが出てきて、刺激がほしいと思って1980トライしてみた。「やらなければ」となると苦しいので、「1980をやってみたい」「やりたいな」と思った時にやるイメージ。6回転の2160に関しても、やりたいと思った時にトライする形を取りたい。

― 長谷川帝勝のモットーについて
気持ちは熱く、頭は冷静に。怒りに身を任せてしまうと物事を冷静に分析できなかったり、判断できなかったりする。例えば自分がどんだけいい滑りしてても点が出なくて次のランが残っているなら、一回その怒りは置いといて次何をしたら勝てるのかを考える。一旦頭を冷静にさせるルーティンがあります。

― X Games Aspen 2024で注目してほしいところ
X Gamesは憧れの舞台で、自分が主戦場として戦っている舞台だと思っているのでどんな相手だろうと倒して、自分がどの種目であれ、その舞台で1番になっていきたい。まずは招待されているビッグエアで優勝して来年再来年とスロープもナックルハックも出て1つずつ制覇していきたい。Aspenでは4方向1980を決めたい。

  

プロフィール

平野歩夢(ひらの・あゆむ) 新潟県出身/25歳

2014年ソチ、2018年平昌五輪ハーフパイプ男子で銀メダルを獲得。世界最高峰の大会「Winter X Games」では、2016年、2018年に優勝、FISワールドカップでは通算6勝、2019年には、Forbes Japanの30 UNDER 30 JAPAN スポーツ部門に選出されるなど、名実ともに世界トップクラスのスノーボーダーである。2022年の北京五輪でトリプルコーク1440を3度成功させる偉業を成し遂げ、金メダルを獲得。

村瀬心椛(むらせ・ここも) 岐阜出身/19歳

父の影響で4歳からスノーボードに触れ、小学1年生の頃にスロープスタイルを始める。2018年にはノルウェーにて行われたX Gamesのビッグエアー種目にて海外のトップ選手たちが出場する中、見事最年少優勝を果たした。2022年、スノーボードワールドカップ・スロープスタイル開幕戦で初優勝を飾り、ビッグエア開幕戦に続くワールドカップ通算2勝目を手にした。

長谷川帝勝(はせがわ・たいが) 愛知県出身/17歳

両親の影響で4歳でスノーボードを始める。11歳のJSBA全日本スノーボード選手権大会ジュニアの部スロープスタイル3位入賞。2021年3月の世界ジュニア選手権ビッグエア優勝・スロープスタイル6位、2022年3月の同大会はビッグエア2位・スロープスタイル4位の成績を収める。先日行われたワールドカップにて8度目の出場で見事初優勝を飾った。

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